世界的にガソリン車から電気自動車への波が進んでいます。
ただ、EV化を断念したとの声も聞こえてきます。
日本国内でも同様でセレナについても電気自動車はいつ発売されるのかという話題はあります。
セレナのEV化に向けた日産の取り組み、e-POWER技術の紹介、そしてその進化について詳しく解説しています。
セレナのモデルチェンジは2022年11月28日に発表されましたが、100%電気自動車は誕生しませんでした。
そのかわりにe-POWERの方は新設計のエンジンが搭載され、モーターのパワーアップが図られるなど、少しだけ強化されています。
ここでは、e-POWERの仕組みをおさらいしながら、セレナの100%電気自動車誕生の見込みと、現状、e-POWERがあるから難しいのかどうかに迫っていきます。
- セレナe-POWER技術の特徴
- セレナのEV化への道のり
- 専用プラットフォームの必要性
- 日産の市場戦略
目次
セレナのEV(電気自動車)化はいつ?現実的にはどう?
セレナを製造・開発している日産では既に電気自動車は発売されています。
その一方で、e-POWERのようなエンジンで発電して電気で走るシステムも存在しています。
セレナについても、e-POWERからEV(電気自動車)化はいつなのか、本当にEV化は進むのか気になるところです。
まず、セレナe-POWERの仕組みとEVの違い、それと今回のモデルチェンジでe-POWERがどう進化したかです。
- セレナe-POWERの仕組みとEV(電気自動車)
- 今回のモデルチェンジでのe-POWERの進化
セレナe-POWERの仕組みとEV(電気自動車)
この図を見てもわかるように、「e-POWERシステム」は、ガソリンエンジン車というより、圧倒的にEV(電気自動車)に近いシロモノです。
出典:https://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/e_power.html
そもそもe-POWERが非常に短期間で開発できたのは「リーフ」のシステムや長年の研究開発があったからというのは日産も認めているのです。
使っているモーターは先代も新型も「EM57型」という初代リーフ で使っていたものですし、エンジンで発電機を回して発電する以外は全く一緒といってもいいのです。
ただ、決定的に違うのはバッテリーの大きさです。
初代リーフの電池容量が24kWh/30kWh(後期型より設定)なのに対し先代でわずか1.8kWhしかなく、現行でも大きな容量アップは無いものと思われます。
2代目リーフでは電池容量が40kWhに、リーフ+では62kWhに拡大され、走行距離も伸びたのですが、バッテリーパックの重量はなんと440kgもあるのです。
引用元:http://history.nissan.co.jp/LEAF/ZE0/1012/PERFORMANCE/
これはリーフの車体構造ですが、この重いバッテリーを車体の重心部に配置し、車体骨格でバッテリーを守るとともに居住性を確保する専用プラットホームなのです。
モデルチェンジ後のセレナe-POWERがどう進化したかは後述しますが、ざっくり言えば、バッテリーさえ大量に積めば簡単にEV化できます。
ただ、新型セレナのプラットフォームではどうあがいても大量のバッテリーを安全に搭載することも、居住空間を確保することも不可能なのです。
今回のモデルチェンジでのe-POWERの進化
今回のモデルチェンジでのe-POWERの進化は発電用エンジンの進化とモーターの強化です。
発電用エンジンの進化(e-POWERのための新開発の専用エンジン)
先代セレナのHR12DEエンジンはもともとガソリン車用エンジンだったのに対し、新型のHR14DDeはe-POWERのための新開発の専用エンジンです。
項目 | 先代(C27) | 新型(C28) |
---|---|---|
エンジン名称 | HR12DE | HR14DDe |
エンジン形式 | DOHC水冷直列3気筒 | DOHC水冷直列3気筒 |
最高出力 | 120kW(163PS) | 72kW(98PS)
/5600rpm |
最大トルク | 103N・m(10.5kgf・m)
/3200-5200rpm |
123N・m(12.5kgf・m)
/5600rpm |
セレナe-POWERでは、発電用エンジンがうるさいという批判が結構大きかったものです。
先代のHR12DEエンジンではスターターの位置に空間があるため、ここから騒音や振動が発生していたのですが、専用設計のためこの空間が無くなりました。
4気筒エンジンと比べると振動が大きくなりがちな3気筒エンジンの弱点を補うためバランサーシャフトを設置して振動を打ち消しているので、ここでも騒音を低減しています。
また、先代セレナは長い坂道では走らないとか高速走行が苦手とか言われていましたが、これは車体に比べて小出力のエンジンの発電力不足にも原因がありました。
今回のモデルチェンジで最高出力、最大トルクとも向上したので、こうした問題もかなり改善するはずです。
回転数も時速30kmまでは先代の2000rpmに対して1600rpm、その後も先代は50km超が2400rpmに対して70kmまでは2000rpmと騒音面ではかなり有利と思われます。
これは燃費面でも有利ですしロングストロークエンジンのHR12DEを遥かに超える、超ロングストロークのHR14DDeは燃費面でもさらに有利なはずです。
モーターの強化
新型セレナe-POWERではモーターの強化も図られています。
項目 | 先代(C27) | 新型(C28) |
---|---|---|
モーター名称 | EM57 | EM57 |
最高出力 | 100kW(136PS) | 120kW(163PS) |
最大トルク | 320N・m(32.6kgf・m) | 315N・m(32.1kgf・m) |
モーターは同じEM57型ですが、出力が20%アップして、ガソリン車を大きく上回っています。
これはリーフの通常モデルの110kW(150PS)を上回るなかなかのスペックです。
トルクはもともとガソリン車を大きく上回っていますし、リーフの通常モデルの320N・m(32.6kgf・m)とほぼ同等です。
このスペックなら今すぐEV化できそうなものです。
セレナの100%電気自動車(EV化)はいつ?e-POWERがあるから難しい?
セレナの100%電気自動車の見込みについては、現時点では何とも言えないのが正直なところです。
日産のパワートレーン開発を担当する平井俊弘専務執行役員は2030年にEVとe-POWERが同じくらいになると言っています。
出典:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01574/022400007/
その後はEVが増えていき、いずれe-POWERはなくなるというのです。
いずれにしても、ごく近未来的に全車がEV化されるわけではなく、そうなると、いつセレナが100%電気自動車されるのかは皆目見当もつかないのです。
「セレナはe-POWERがあるから100%電気自動車化は難しい?」
そう聞かれたら、同じプラットホームでは両立は難しいというのが答えでしょう。
e-POWERと電気自動車について日産のアナウンスでは、2022年度末までに、「新型」電気自動車3車種とe-POWER搭載車5車種を投入する予定としていました。
ここでポイントなのは電気自動車3車種というのが「新型」だということなのです。
おそらく電気自動車には専用のプラットホームが必要なのですが、日産は日本市場が一気にEV化するとは踏んでいないようです。
そのため、新型セレナ(C28)では既存のプラットホームを踏襲し、e-POWERのリファインで乗り切ろうとしているのでしょう、
これは、セレナの場合、今は6割がe-POWERというほど売れているからで、売れていなければ電気自動車という選択もあったのかもしれません。
セレナはe-POWERがあるから100%電気自動車化は難しいのではなく、日産が次代セレナ(C28)にe-POWERを選択したのです。
まとめ:セレナが電気自動車になる時期、いつになる?
セレナのe-POWERは非常にEV(電気自動車)に近いパワートレインであることは間違いありません。
しかし、そのバッテリーパックの重さと大きさ、そして防御の必要から、専用のプラットホームが必要ということも確かです。
セレナをEV(電気自動車)とe-POWERの2本立てにするのは難しいと思われるので、当面はコストも安く売り上げの見込めるe-POWERで勝負するのでしょう。
いずれは、セレナもEV(電気自動車)化される、もしくはセレナのようなEVのミニバンが出るのでしょうが、それはしばらく先になりそうですね。
この記事でお伝えした内容のポイントを簡単にまとめてみました。
- e-POWER は EV に近い
- バッテリー容量は小さい
- 発電用エンジンが進化
- モーター出力20%アップ
- 100% EV 化は未定
- EV と e-POWER は2030年に同等
- 専用プラットフォームが必要
- 日産は日本市場の即時EV化を見込まず
- C28はe-POWERを選択
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